[活動報告]丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクト 学校を核とした地域づくり講座 第2回を開催しました

担当:蔦木伸一郎

学校を核とした地域づくり講座第2回は「学びと地域づくりを支える図書館の役割と地域・学校との連携」をテーマに、岡山県瀬戸内市民図書館もみわ広場の元館長で現在は京都橘大学教授の嶋田学さんをお呼びしました。

〇開催日時:2023年9月10日(日)13時30分~16時
〇開催場所:丹波市市民プラザ
〇参加者 :24名(事務局除く)
〇内容:

全体テーマ「子どもも大人も学び合い、育ち合う、誰もが楽しく参画できる地域づくりをめざして」

1.プロジェクトの説明
『丹波「学校を核とした地域づくりプロジェクト」の説明』 
NPO法人丹波ひとまち支援機構 スタッフ・社会教育士 蔦木伸一郎

2.「学びと地域づくりを支える図書館の役割と地域・学校との連携」をテーマとした報告
講師:地域が元気になる図書館づくりの実践者
嶋田 学氏(京都橘大学文学部教授/瀬戸内市民図書館もみわ広場元館長)

(プロフィール)
大阪府豊中市、滋賀県永源寺町、同県東近江市の図書館で勤務後、岡山県瀬戸内市で新図書館整備に携わり2016年6月瀬戸内市民図書館もみわ広場を開館。2017年、Library of the year大賞とオーディエンス賞を受賞。著書『図書館・まち育て・デモクラシー瀬戸内市民図書館で考えたこと』(青弓社)

 
3.グループ交流・全体交流 
活動紹介の感想、テーマについての意見交換 などグループで交流

嶋田学さんからは、以下の3つについて解説・報告をしていただきました。

①学びと地域づくりを支える図書館の役割とは?
②地域と学校の連携における図書館の役割・学校司書の役割とは?
③市民とともにつくる図書館に向けて

学びと地域づくりを支える図書館の役割として、生涯学習の概念や「ユネスコ公共図書館宣言2022」を例に出していただき、丁寧に解説をしていただきました。その上で、嶋田学さんが滋賀県東近江市の図書館職員時代に経験したエピソードを元に、地域社会において図書館に求められていることについて具体的なお話を伺い、図書館ができることの範囲の広さに気が付くことができました。

次に、学校図書館はなぜ必要か、司書教諭と学校司書の役割の違い、そして学校司書がいることが子どもたちの育ちや学びにとって不可欠な存在であることを解説していただきました。学校司書が配置されていない丹波市の小中学校において、改めて学校図書館のあり方や学校司書の必要性について、深い議論が必要であると感じました。また、公共図書館が学校図書館を支援する理由や具体的な支援内容について、解説していただきました。

特に、夏休みに捕まえた虫を持って図書館にやってきた男の子のエピソードの話が印象的でした。最初は「おっちゃん、この虫の名前を教えて!」とやってきた子どもに対して、虫の図鑑を用意して調べ方を伝えてあげると、翌日には捕まえた魚を持ってきて「おっちゃん、魚の図鑑ある?」と尋ねてきました。子どもたちの中で、自分で図書館に行って調べてみるという行動の変化が起きたというエピソードでした。その中で出てきた『新たな経験によって次の「未知」に出会って、早速「調べる」という「経験」を活かす』という言葉はとても印象に残りました。

次に、市民とともにつくる図書館というテーマの中で「市民の期待への対応には協働が不可欠」という視点で「協働による図書館づくり」についてお話をしていただきました。嶋田学さんが館長として立ち上げと運営に関わった、岡山県瀬戸内市の「瀬戸市民図書館もみわ広場」の取り組みについての紹介がありました。建設前から市民協働が大前提のプロセスの構築として「としょかん未来ミーティング」を実施し、子どもからと大人までのあらゆる世代との対話を大切にしながら準備を進めてきました。その動きに応えるようにして、市民の主体的な取り組みとして「図書館友の会 せとうち もみわフレンズ」が生まれ、現在に至るまで「協力と提言」を合言葉に、独自企画や地域資料を活かした取り組みを図書館との協働で実施しています。

報告を聞いた後はグループごとに、「学びや地域づくりを支える図書館に向けて、連携・協働によってできることは?」をテーマに意見交換しました。


参加者からは、

「居場所を自分たちでつくることができる」
「より多くの市民に利用、情報提供できる場所になる」
「図書館に求められている役割を話し合うことができる」
「それぞれのギャップを認め合うことができる」
「学校図書館への司書の派遣ができる」
「地域の行事を学校図書室で行うことができる」
「相談できる人が居るという図書館づくりができる」
「学校図書館に公立図書館の支援を強化することができる」
「連携・協働することで結果だけでなくプロセスや失敗も次につながることになる」
「住民の自己選択を何かしら入れ、お客様ではなくて参加者になる」
「学校に行けていない子どもの受け入れができる」
「丹波市の6つの図書館ならではの連携ができる」
「公共図書館と学校図書室のネットワークができる」
「学校と地域、学校教育と社会教育を結ぶことができる」


などの意見が出ました。

参加者からは次のような感想が出ていました。

  • 『市民のイメージする自己実現・幸福からスタートするという言葉が大変印象的でした。』(市民)

  • 『公共図書館(中央図書館と各地域図書館)と学校図書室との連携が、地域づくりの大きな柱になると感じました。』(学校教職員)

  • 『社会教育で培ってきたこれまでの文化、仕組みが重要な社会教育施設である図書館で再生する希望を感じます。』(行政職員)

  • 『知の学びのハブとなる中央図書館、サードプレイスの実現を祈ります。多様な価値観の人々のための、ダイバーシティ、ウェルビーイングの図書館が在ることが夢です。』(市民)

  • 『市民が作る図書館、図書室にできるように地域と協力して、図書室の開放していきたい。』(学校教職員)

  • 『自治協議会の地域コミュニティ活動推進員が、地域学校協働活動推進員をされる形がスムーズに地域と学校をつないでいくと思います。』(学校教職員)

  • 『図書館での協働、様々な団体、組織とのネットワークについて考えてみたい。』(教育委員会事務局職員)


当日会場にてプロジェクトへ頂いたご寄付:6,505円
今後の活動の発展のために使わせていただきます。ありがとうございます。


学校を核とした地域づくり講座は10/21に第3回「PTA活動とコミュニティ・スクールの連携」を開催します。詳細は下記をご覧ください。
https://tam-en.org/chigakukouza2023/


報告資料

グループワークまとめ

ふりかえりシートまとめ

今年度のプロジェクトの様子

今年度は8月から学校を核とした地域づくり講座を開催しています。

詳細はこちらの報告記事をご覧ください

第1回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_01/

第2回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_02/

メディア掲載:https://tam-en.org/media230910/

昨年度のプロジェクトの様子

昨年のプロジェクトでは、7月交流会、9月、10月、11月に「学校を核とした地域づくり」講座、2月にふりかえり交流会を開催しました。

詳細はこちらの報告記事をご覧ください

7月交流会 https://tam-en.org/manabipj1/

9月講座  https://tam-en.org/manabipj3/

10月講座  https://tam-en.org/manabipj4/

11月講座  https://tam-en.org/manabipj5/

2月ふりかえり交流会 https://tam-en.org/manabipj7/

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