[活動報告]丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクト『図書館の可能性を考える交流会』を開催しました!

担当:蔦木伸一郎

交流会では、「子どもたちの学びを支え、地域とのつながりを生み出す図書館の可能性」をテーマに、今年度のプロジェクトをふりえかりつつ、今年度の講座の中で注目された「学校図書館」や「公共図書館」の機能や図書館運営を担う司書、学校図書サポーター、学校司書について取り上げました。

学校司書が配置されていない丹波市において、子どもたちの育ちを支え、人と人をつなぎ、学び合いを通した人づくりを目指して行われている地域・学校・家庭の連携・協働や図書館の役割について、参加者全員で考えていきました。

〇開催日時:2024年2月24日(土)13時30分~16時30分
〇開催場所:丹波市立船城小学校 図書室・多目的ホール
〇参加者 :46名(事務局除く)
〇内容:

全体テーマ「子どもたちの学びを支え、地域とのつながりを生み出す図書館の可能性」

1.丹波市内の実践報告
①今年度のプロジェクトのふりかえり
 特定非営利活動法人丹波ひとまち支援機構
  スタッフ 蔦木 伸一郎(社会教育士)

②子ども司書養成講座の取り組み
 丹波市立図書館 高見 弘子さん

③学校図書サポーターの取り組み
 学校図書サポーター 宮崎 千枝美さん 
 学校図書サポーター 永井 暁美さん

2.ゲストスピーカーの報告
図書館や情報を活用できる子どもたちを育てる実践者
宮澤 優子 さん
(長野県 高森町立高森北小学校 学校司書・高森町子ども読書支援センター司書)
宮澤さんの取り組みに関する記事をご覧になる場合は、下記のURLアクセスしてください。
https://toyokeizai.net/articles/-/629624

3.意見交換・交流・まとめ
感想、テーマについての意見交換などグループで交流

ゲストスピーカーのプロフィール
公共図書館司書を経て2008年より学校司書。学校司書および校内ICT担当として、学校図書館の「読書センター・学習センター・情報センター」の機能とGIGAスクール構想をつなぐ。子どもたちの日常の学びのために、そして学校図書館機能の確かなアップデートのために、子ども読書支援センターを中心に町内の司書たちと日々奮闘中。Google認定教育者Lev.2、GEG Minami Shinshu 共同リーダー


特定非営利活動法人丹波ひとまち支援機構の蔦木から、今年度の丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクトを振り返る報告をしました。今年度実施した小中学校に対するアンケート調査の中で、小学校では21校中16校が「学校司書の配置が必要」、3校が「分からない」という回答、中学校では5校中2校が「学校司書の配置が必要」、3校が「分からない」という回答でした。丹波市には学校司書が配置されておらず、学校司書がいる学校や子どもたちの様子に触れるないため、学校司書の役割について知る機会がないので、今回の交流会を開催したという話がありました。


丹波市立図書館の高見さんからは、「子ども司書養成講座の取り組み」についてご報告がありました。子ども司書養成講座は、平成24年度から始まり令和5年度に11年目を迎え、これまでに子ども司書の認定者は110名になっています。全7回の養成講座は、子どもたちが図書館や地域の読み聞かせ活動や、学校での読書推進活動で活躍することを期待して実施しており、司書が企画・運営をしています。課題として、①子ども司書の活躍の場づくり②学校や学校図書館との連携づくり③中学生・高校生になってからの継続的な関わりづくりがあると報告されました。


学校図書サポーターの宮崎さん、永井さんからは、「小学校図書室における学校図書サポーターの取り組み」についてご報告がありました。学校図書サポーターは2018年4月から開始された制度で、現在19校の小学校を2名のサポーターで2カ月に1回のペースで巡回して、約4時間活動しています。主に、子どもたちが楽しくなるような、行ってみたいと思えるような、本を見たいと思うような雰囲気になるように、図書室の季節ごとやテーマごとの飾りを作り、掲示しています。学校図書館に関わる図書サポーターとして感じることとして、①図書委員の子どもたちと一緒に活動することが時間の制約で難しい②各学校で本の分類や並べ方がまちまちで、本が分類ごとに入りきらないこと③先生たちは多忙・異動があるため、図書室の本を整え子どもたちが好きな本に出会うためには学校司書の存在が不可欠、という報告がありました。

続いて、ゲストスピーカーの長野県 高森町立高森北小学校 学校司書・高森町子ども読書支援センター司書の宮澤優子さんから「学校図書館の捉えなおし~未来を生きる子どもたちのための学校図書館とは~」というテーマでご報告をいただきました。学校図書館の機能として、「読書センター」「学習センター」「情報センター」の3つの機能について具体的にご説明いただきました。その上で、『学校図書館とは社会に存在する「情報」や「技術」に「いつでも」「自由」にアクセスできる場所』であり、「本」にとらわれていないことやGIGAスクール構想と密接に関わっていることを解説していただきました。また、学校図書館の抱える問題として、物がない(資料・予算)人がいない(学校司書・司書教諭)場がない(時間・機関)を挙げ、現状の学校図書館は本来の図書館としての役割を果たせているのかいう投げかけがありました。
そして、機能している学校図書館の姿として、「読書センター」「学習センター」「情報センター」のそれぞれの機能ごとに、実際の取り組みを紹介していただきました。
最後に、「今の最先端は10年後の時代遅れ」であり、①図書館「像」(公共も学校も)のアップデート②時代に必要な「教育」と「教育観」③子ども達が社会に出る「未来」を見通す、ことで必要である。図書館は「読む」「調べる」「知る」「楽しむ」「考える」「作る」「くつろぐ」、そして「なにもしない」ところであると、宮澤さんが子どもたちに伝えているとお話していただきました。


報告を聞いた後はグループごと分かれて、フリップトーク形式で感想やテーマについて意見交換をしました。

「子どもたちの学びを支えるために学校図書館にできることは?」というテーマに対しての参加者からは、

「ありとあらゆることができる。何でもあるのだから」
「学習・情報センターの充実」
「子どもたちの学びのためにできることいっぱい」
「本の分類をして、資料が分かりやすいようにする」
「本が好きになり、学ぶ意欲につなげる」
「読書支援(読書案内・指導)により、読書スキルを上げる」
「楽しく、くつろげる場になって、いろんな興味を持てるように」
「行きたいと思える場所にする」
「本に興味を持ってもらえる環境を整える」
「図書館の活用の仕方を知らせる」
「子どもたちの学びたい気持ちをサポート」
「学びたいと思った時にすぐに行ける」
「毎日開館して、いつでも学校司書がいる」
「子どもたちがいつでも居れる場所。読みたい本があること。そして『人』」
「すべての教科に関連づけて学校図書の活用をする」
「図書館や資料の使い方を教える」
「教師と児童・生徒の生の声を聞いて、伴走できること」
「いつでも誰かいること。人が常駐していること」
「情報検索スキルアップのためのカリキュラムと教材づくり」
「まずはボランティアの力をかりて、本の整理をする」

などの意見が出ました。


参加者からは次のような感想が出ていました。

  • いろんな人が図書館に期待していることに希望が見えた。』(公共図書館職員)

  • 予算、人の配置が足りない中で工夫できることをみつけたいと思いました。コミュニティスクールの動きに組み入れていくとよいことが分かりました。』

  • 『図書館はなんでも出来る、可能性に満ちていることがわかりました 地域、学校、図書館の連携もいろいろな方法があることがわかりました。丹波市小中学校にも、司書さんの配置が必要だと思いました。』

  • 「図書館の本来の役割」を参加者で共有出来たのは、大きな成果だったと考えます。』

  • 『子どもたちに、もっともっと本を読んで欲しいと思っています。そのためのヒントをたくさんいただきました。』(学校教職員)

  • 『地域の人も学校に入るきっかけとして図書館を開放してもらえれば、地域と学校のつながりづくりになるのではないかと思います。図書館職員もスキルの高い方が多くいらっしゃるので、学校も図書館職員にもっと声かけてもらうといいと思います。』(行政職員)

  • 学校図書館の存在が身近になってきました。 地域と子どもたちをつなぐために、学校図書館、公共図書館は宮澤先生がおっしゃるように、たくさんの可能性があると思います。』

  • 『学校図書館の課題を知ることが出来ました。 司書がいないことで、子供達に提供出来ることが限られてしまう現状。残念なことです。』

  • 『図書館運営について こども園との連携、接続に可能性があると思いました。こども園の本の親しみ方、読み聞かせの仕方から、取り入れてたいと思います。』(学校教職員)

  • 『学校図書館は「ただ本を読むだけのところ」という考えから、「何でもできるところ」ということを学校の子どもたちに発信し、子どもたちがそう思えるように育てていきたいと思います!』

  • 図書館は、何もしなくてもいい場所という考え方。そこに行きたいと思える図書館であるためには、司書やサポーター、職員等、人の存在だと思いました。』(行政職員)

  • 『以前から、小中学校の図表室には司書が必要だと思っていました。 今は改めて強く感じました。又、多くの方が同じように思っておられることに驚きました。小中学校に、司書の配置を望みます。』

  • 『学校図書サポーターの取り組み、素敵だと思いました。 図書に興味を持たせる掲示が、良く考えられていてよかったです。子ども司書、しっかり子どもたちが学んでいて、成果のポップも力作でおどろきました。』

  • 『社会教育、生涯学習に興味を持っていて、参加した。 子ども司書講座を受けたが、どういう目的でやられている事業なのか改めてわかり、これからも続けていってほしいと強く感じた。子どもの「学びたい」気持ちをサポートする始めの一歩として、図書館があってほしいと思う。』

  • 『学校が、機能が未熟なままの図書館を再生産にいるのではないかとのお話があった。自分が働いている公共図書館でもルーティンワークに追われるのみで、機能が未熟なままの「公共図書館」を再生産にいるのではないかと、危機感を感じた。学校のことをこれからもよく知り、自分達の立場からできることを前向きにやっていきたい。』(公共図書館職員)


当日会場にてプロジェクトへ頂いたご寄付:13,910円
今後の活動の発展のために使わせていただきます。ありがとうございます。


丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクトの今年度の事業は、今回で終了です。引き続き、プロジェクトへのご協力をお願い申し上げます。

805たんばではゲストスピーカーの宮澤優子さんのインタビューを、YouTubeチャンネルで掲載しています。

https://www.youtube.com/watch?v=Eo33D5tocFw

報告資料(今年度のプロジェクトのふりかえり)

報告資料(子ども司書養成講座の取り組み)

報告資料(学校図書サポーターの取り組み)

報告資料(ゲストスピーカー:宮澤優子さん)

ふりかえりシートまとめ

805たんばYouTubeチャンネル

今年度のプロジェクトの様子

今年度は8月から学校を核とした地域づくり講座を開催しています。

小中学校に対するアンケート調査を実施しました。

詳細はこちらの報告記事をご覧ください。

第1回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_01/

第2回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_02/

第3回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_03/

メディア掲載:https://tam-en.org/media230910/

小中学校に対するアンケート調査
https://tam-en.org/investigation202301/

昨年度のプロジェクトの様子

昨年のプロジェクトでは、7月交流会、9月、10月、11月に「学校を核とした地域づくり」講座、2月にふりかえり交流会を開催しました。

詳細はこちらの報告記事をご覧ください

7月交流会 https://tam-en.org/manabipj1/

9月講座  https://tam-en.org/manabipj3/

10月講座  https://tam-en.org/manabipj4/

11月講座  https://tam-en.org/manabipj5/

2月ふりかえり交流会 https://tam-en.org/manabipj7/

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