[活動報告]『「地域づくりはひとづくり」 たんば地域教育フォーラム』を開催しました!(丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクト)

担当:蔦木伸一郎

『丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクト』は今年度で3年目です。

「子どもも大人も学び合い、育ち合う、誰もが楽しく参画できる地域づくりをめざして」というテーマで、丹波市内のコミュニティ・スクールや地域学校協働活動の一体的な取り組みを支援するために実施しています。

1年目は、丹波市内のコミュニティ・スクールや地域学校協働活動の実践事例から学ぶ交流会、「学校を核とした地域づくり講座」(全3回)、コミュニティ・スクールや地域学校協働活動の関係者や行政の担当部署の職員が一堂に会した「ふりかえり交流会」を開催しました。

2年目は、「学校を核とした地域づくり講座」(全3回)、「図書館の可能性を考える交流会」、小中学校向けのアンケート調査や地域学校協働活動推進員に対するヒアリング調査を実施しました。

これまでの取り組みは、すべて当法人のウェブページに掲載しております。

3年目となる今年度は、丹波市内の小学校2校(船城小学校・東小学校)と中学校1校(柏原中学校)と連携し、地域学校協働活動マップの作成を進めてきました。

そして、本プロジェクトの最後の企画として、2025年1月19日(日)に『「地域づくりはひとづくり」たんば地域教育フォーラム』を開催しました。

誰もが安心して暮らし続けることができる地域をつくるためには、子どもから大人までが、学び合い、実践するなかで、ゆるやかにつながっていくことが大切です。島根県益田市豊川地区における学校教育と社会教育の連携や、「対話」を通じた協働のひとづくりの事例、丹波市立東小学校のコミュニティ・スクールの実践の話を通して、参加者全員で学び合っていきました。

〇参加者
48名(事務局除く)

〇日程
2025年1月19日(日) 13:30 ~ 16:30(開場 13:10)

〇会場
兵庫県立丹波の森公苑 1階 多目的ルーム (丹波市柏原町柏原5600)

〇内容

1.趣旨説明・プロジェクトのふりかえり

3年間取り組んだ、丹波「学校を核とした地域づくり」プロジェクトのふりかえり
報告者: 特定非営利活動法人丹波ひとまち支援機構 スタッフ 蔦木 伸一郎(社会教育士)


2.講演
「ほしい未来は自分たちでつくる ~地域づくりはひとづくり~」

ゲスト講師: 地域自治組織「とよかわの未来をつくる会」 顧問 河野 利文氏


2023年度には豊川小学校(全校児童33人)の学校運営協議会と地域自治組織「とよかわの未来をつくる会」が「コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進」に係る文部科学大臣表彰を受賞。人口約800人の島根県益田市豊川地区において、「ほしい未来は自分たちでつくる」を合言葉に、住み良い、住み続けたい地域を次の世代に繋いでいくため、自分たちのできることを考え、子どもたちが主役となる地域づくりに取り組んでいます。地域行事や自主的な活動など様々な地域の場面で活躍をする中高生団体「とよかわっしょい!!」や、誰でも講師に、誰でも生徒になれるあらゆる年代の交流と学びの場としての「​マスダひとまちカレッジ~とよかわキャンパス~」などの活動があります。
豊川地域における地域と学校の協働や、ひとづくりの取り組みについてお話いただきました。

▶とよかわの未来をつくる会 ホームページ
https://masuda-toyokawa.wixsite.com/miraidukuri
▶とよかわの未来をつくる会 Facebookページ
https://www.facebook.com/toyokawa.kosodate.net


ゲスト講師のプロフィール

子どもたちが主役となる地域づくりの実践者


島根県益田市生まれ。49歳。
地域自治組織「とよかわの未来をつくる会」 
顧問/豊川保育園 園長/益田市議会議員/益田市立豊川小学校 学校運営協議会会長/益田市保育研究会 会長 人口約800人の島根県益田市豊川地区において、「ほしい未来は自分たちでつくる」を合言葉に、住み良い、住み続けたい地域を次の世代に繋いでいくため、自分たちのできることを考え、子どもたちが主役となる地域づくりに取り組んでいます。 河野さんの取り組みに関する記事をご覧になる場合は、

下記のURLアクセスしてください。
https://masuda-toyokawa.wixsite.com/miraidukuri



3.丹波市内の実践報告

丹波市立東小学校 学校運営協議会(東小コミスク)
学校運営協議会会長 足立 恵宣氏 / 地域学校協働活動推進員 松井 崇好氏

「子どもをど真ん中に学校・地域の魅力発信~つながろう東小コミスク~」を合言葉に取り組んでいる、学校・家庭・地域のつながりづくりについてお話していただきました。

▶丹波市立東小学校学校運営協議会 Instagram
https://www.instagram.com/higashisyou_komisuku


※当日の報告資料は、ページに下部に掲載しています。

1.趣旨説明・プロジェクトのふりかえり

報告者:特定非営利活動法人丹波ひとまち支援機構 蔦木 伸一郎(社会教育士)

3年間の「学校を核とした地域づくり」プロジェクトについて、ふりかえりの報告がありました。

今年度のモデル校の3校(丹波市立東小学校、船城小学校、柏原中学校)と連携して取り組んだ「地域学校協働活動マップ」の作成や、3年間を通して見えてきた地域学校協働活動の課題についての話がありました。そして、その課題を踏まえたうえで、今回の「地域づくりはひとづくり」たんば地域教育フォーラムを開催したという報告がありました。



2.講演 「ほしい未来は自分たちでつくる ~地域づくりはひとづくり~」

続いて、本日のゲスト講師である 地域自治組織「とよかわの未来をつくる会」 顧問 河野 利文さんから、「ほしい未来は自分たちでつくる ~地域づくりはひとづくり~」というテーマで、主に以下の3つのポイントについて、お話をいただきました。

ほしい未来は自分たちでつくる~地域づくりはひとづくり~
1.地域自治組織とコミュニティスクールの一体的推進 ~スクールコミュニティを支える組織づくり
2.豊川地区で育つ子どもの18年
3.多世代の居場所を地域に~誰もが地域づくりの主体者

ゲスト講師 河野 利文さん


<キーワード>

・地域活動に取り組む子どもの姿が、大人の地域への思いを突き動かす

・児童数が減少することで、これまで小学校を中心に行っている地域の取組みを同じ形で継続していくのは困難に。今の形のまま少子化や高齢化が進行すれば、子ども達の教育環境が良くなることはない

・豊川地区つろうて子育て推進協議会の設立:
目的を共有し、活動とその財源を整理。


・とよかわ寺子屋の開設:
地域の中に学校外のつながりと学びの場を作る


・中高生地域活動グループ「とよかわっしょい!!」:
地域の中に中高生の居場所(サードプレイス)を作る


・豊川小学校がコミュニティスクールに指定:
「子ども× 地域 ×親 ×学校」の新たな仕組みをつくる。豊川地区つろうて子育て推進協議会を母体として、子どもについて語り合える学校運営協議会を作る。
学校での学びを地域へ。地域での学びを学校へ。

・社会教育コーディネーターの配置:
学校と地域を繋ぐ「人材」の配置。学校に地域交流スペースを整備。小学校内に地域のための居場所をつくる。

・地域自治組織 とよかわの未来をつくる会 の設立:
豊川地区つろうて子育て推進協議会を「ひとづくり部会」(人材発掘・人材育成)として組織の中心に置く。

・「とよかわの未来づくり宣言」の策定:
「大人の学びの場づくり」を追加。公民館活動の「リ・デザイン」をめざす

・「大人の学びの場」について検討:
様々な世代が参画できる内容に/全てお膳立てするのではなく、共に作り、学ぶ場に/新たな年代の声を広く集める機会を工夫する

・とよかわの未来をつくる会「マスダひとまちカレッジ」:
人材発掘⇒人材育成⇒人材活用 / 地域の担い手の循環をめざす / みんなの「やってみたい!」を形に

・お試し住宅「とよかわの家」の整備・運営:
小学校は総合学習の素材に取り入れ、授業で障子の張替えに参加。とよかわっしょい!!(中高生)も参画~全世代で楽しく! →古民家改修は「手段」、「目的」は活動を通してが育つこと!

・みんなでつくる「シェアフルーツガーデン構想」:
果樹園づくりは「手段」、「目的」は活動を通してが育つこと!
「楽しい」が結果的に「課題解決」に繋がる

・豊川地区で育つ子どもの18年:
「めざす子ども像」を共有し、保小中高の育ちを一貫して支える。『自分の「好き」からみんなの「好き」を実現できる子ども』を育てる

・すたでぃスペースとよかわ:
子どもと地域の学校外のつながりと学びの場。小学校での学びを補完する学びの場。

中学生が学校外で参画できる活動づくり:
益田東中学校6カルプロジェクト(総合的な学習の時間)。出身校区だけでない全小学校区で中学生を受入れ

多世代の居場所を地域に~誰もが地域づくりの主体者に
『マスダひとまちカレッジ』のプロセス 
「楽しく!」/「大人も子どもも!」/「自分たちで!」

人材発掘⇒人材育成⇒人材活用で地域の担い手が育っている:
自分たちも楽しく地域に貢献したい!社会に貢献する喜び・達成感×楽しさ。

・持続可能な地域をめざして:
「課題解決」<「楽しい」
結果的に課題解決に繋がる楽しい活動を

「子どものために」<「楽しい」
いきいきとした大人と子ども達を繋げる

「地域のために」<「楽しい」
地域活動を「義務」にし過ぎない雰囲気づくり

常に活動をオープンに!参加しやすく新たな人が入りやすい雰囲気づくりと組織作りを!

キーワードは、「楽しく」「大人も子どもも」「自分たちで」


豊川で18年間育った子ども達と繋がり続け帰って来たい場所であり続けることが必要。
息長くこれまでの枠組みを継続・発展させながら新たなことに積極的に挑戦し続ける地域へ
ほしい未来は 自分たちでつくる


3.丹波市内の実践報告

丹波市立東小学校 学校運営協議会(東小コミスク)
学校運営協議会会長 足立 恵宣さん / 地域学校協働活動推進員 松井 崇好さん

「子どもをど真ん中に学校・地域の魅力発信~つながろう東小コミスク~」を合言葉に取り組んでいる、学校・家庭・地域のつながりづくりについてお話していただきました。


<キーワード>

・子どもをど真ん中に学校・地域の魅力発信~つながろう東小コミスク

・学校運営協議会の歩み 学校応援団として:
小さく産んで大きく育てよう⇒「相談」⇒「参画・協働」⇒「地域主体」へ

“やりたい”を実現するクラブ活動:
授業の時間を使い、6年生にヒアリングやってみたいクラブ活動を自由に発表

・地域が関わる冬の体つくり事業:
コミスク・PTA・地域の協力者、合計48名が学校行事に参加!
先生が児童達を見守れる体制作り、そして一緒に楽しむ

・年齢や職歴・経験に関係なく意見を出し合える場づくり:
ワークショップ型の会議と事前ミーティングの導入

・“誰のために何をするのか”+“コミスクは、目的ではなく手段”

・アンラーニングの重要性:
これまでの学習の棄却と新たな置き換え「学びほぐし」

・情報共有と開かれた土台作り
事前ミーティングの実施 / LINEグループの活用 / 広報誌の発行・SNSの活用

東小コミスクに関わる人のウェルビーイングを向上させたい


4.意見交換・感想共有

後援や報告を聞いた後は、グループごと分かれて、フリップトーク形式で感想やテーマについて意見交換をしました。


参加者の感想(ふりかえり・感想シートから一部抜粋)

  • 『東小での子どもまんなかにしての、クラブ活動ができたこと素晴らしいと思いました。WS で他の人の感想が聴けたことも良かったです。 丹波市も少しずつ進んでいけるといいなあと思います。「楽しい」「楽しむ」ことが大切ですね。

  • 楽しく、ゆるやかで、参加したくなるような、機会をつくりたいです。』

  • 是非、“とよかわ”に行きたい!と思いました。 グループトークも、普段、話すことがない方とお話をすることができて良かったです。』

  • 『河野さんの話を丹波の人たち皆話せて嬉しかったです。自分たちの未来は自分たちでつくる、主体的と言葉で言うのは簡単だけど、どうやって生まれているのかが知れた時間でした。』

  • 『実際に活動に参加している人からの話を伺えて、リアルな話を聞くことでしか得られない細かなところ、パワー、熱のようなものを感じることができました。自分の仕事にいかしたい、と思って社会教育を学びはじめたのですが、自分の住む地域のことをどんどん考えはじめるようになり、こういった実践事例をたくさん聞くことで、より想像しやすくなっているなと思います。』

  • 『益田市の取り組み、東小の取り組みをきき、大人が楽しむ、子どもをおもしろがらせることが大切だと思いました。』

  • 『地域活動を行っていくうえで、まずは当事者が「楽しい」と感じたうえで、人を巻き込んでいくことが最も大切だと思いました。』

  • コミスクなどや地域活動は「楽しくやる」 ことが大事ですね。たのしさがあればjoinする人も増え、自走もすすむ。私も「たのしさ」を大事にして活動してゆきたいです!』

  • 『学校と地域、子どもと大人と先生、「Win-Win」の関係づくりに苦慮していることが多いと思います。「Win」とか「Loose」(負け、しんどい)を考えるのではなく負けとしんどいい「Fun-Fun」な関係をつくることができたらイイナ。』

  • 『豊川で学び成長した 18 歳の方々が大きな進路選択に際し、地域を思い、自分に何ができるか、 自分は何をしたいのかを考えながら、なりたい自分になることを選んでおられることに感銘を受けました。』

  • 様々な取り組み、活動は、あくまでも手段であって目的ではない。目的はあくまでも“人を育てること”、“人づくり”であるという観点に、共感を抱かせていただきました。』

  • 『地域プロジェクトを進める上での「目的」・「手段」の再認識ができました。』

  • 『コミスクにかかわる者として、「楽しく」活動。そのために、「しかけ」 をつくることが大切だと再確認しました。運営にいかしたいと考えています。』

  • それぞれが話す課題が、人のつながりの希薄化が起因するものだと感じ、それにより子どもの経験不足などにつながっているように感じました。それを解消するために、自分ができることを考えてみたいと強く思いました。』

  • 『「地域づくりは人づくり」、改めて、実感しました。 今後も、人とのつながりを大切に、そして、ささえあいへとつなげる地域にしていきたい。』

当日会場にてプロジェクトへ頂いたご寄付:20,560円
今回の活動にかかった経費に充てさせていただきます。ありがとうございます。


報告資料(プロジェクトのふりかえり)

ゲスト講師資料(ほしい未来は自分たちでつくる~地域づくりはひとづくり~)

報告資料
丹波市立東小学校 学校運営協議会(東小コミスク)
子どもをど真ん中いに学校・地域の魅力発信~つながろう東小コミスク~

ふりかえりシートまとめ

<2023年度のプロジェクトの様子>

■「学校を核した地域づくり」講座(全3回)
第1回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_01/

第2回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_02/

第3回 https://tam-en.org/chigakukouza2023_03/

メディア掲載:https://tam-en.org/media230910/


■小中学校に対するアンケート調査
(コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な取り組みに関する調査)
https://tam-en.org/investigation202301/

■図書館の可能性を考える交流会
https://tam-en.org/furikaeri20240224/

<2022年度のプロジェクトの様子>

■ 交流会
7月 https://tam-en.org/manabipj1/

「学校を核した地域づくり」講座(全3回)
9月講座  https://tam-en.org/manabipj3/

10月講座  https://tam-en.org/manabipj4/

11月講座  https://tam-en.org/manabipj5/

■ ふりかえり交流会
2月 https://tam-en.org/manabipj7/

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